2009年6月11日木曜日

出会いと別れ


 卒園児のお母さんが帰らぬ人になりました。お通夜に出席し、悲しみに打ちひしがれるみなさんを間近に感じ、悲しみの海に投げ出されたようになりました。人には必ず別れがあるものです。でも早すぎる別れは残された者の心に深い闇を残します。

 私たちには毎年のように出会いと別れがやってきます。新しい子どもたちとの出会いは私たちに希望をもたらし、卒園というかたちの別れは後悔をもたらします。十分に子どもたちに責任を果たせたか後悔するのです。私たちには2年間〜3年間の時間をお母さん方に頂いています。この中で、十分に子どもたちの生活や発達を保証していかなければならないことと子どもたちがみんなに支えられて生きていけることを実感して欲しいと願いながら別れを迎えます。

 今年の春、こんな思いを叶えられず別れを迎えてしまった別れがありました。4月の出会いからわずか2ヶ月間の生活でしたが、やっと園にも慣れ始め自分を出し始めた矢先でしたので私も残念でありませんでした。園の教育方針を理解して頂いてはいたのですが、アレルギーの心配がお母さんの心を支配してしまったようです。兄にひどい動物アレルギーがあり、その影響が家庭に及ぶ心配でお母さんが別れを決意したようです。お母さんに私たち保育者が寄り添えなかった事に深い憤りを感じ、今まで落ち込んでいました。

 園は動物がいます。子どもたちにとって動物との関わりは自分を見つめる上で大切なことです。それは、人とのふれあいを言葉で感じる以前の感情で感じ、心を通わせることの大切さを教えてくれるからです。こんな園の教育方針は理解して頂いたのですが、いざ、目の前に展開される子どもたちと動物の生活がお母さんの心配を加速させ、家へ動物の毛が侵入することへの心配が増幅されたようでした。園の動物たちを全部整理する訳もいかなく、お母さんと話し合い、私たちは別れを納得するしか手はありませんでした。心残りです。でも仕方がない。

 相変わらず動物小屋は、のんびりと草を食んでいるヤギがいます。鳴き始めるとやかましいガーコもいます。チャボたちは今日も何個かの卵を産みました。子どもたちが動物当番で発見して、大騒ぎをするでしょう。こんな日々の中で子どもたちは動物たちとの生活を楽しんでいます。でも、一方ではこんな環境を送りたくてもおくれない子どもたちがいることも、私たちは心に留めなければならないでしょう。

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