2009年12月30日水曜日

反省文2009


 一刻も早く立ち去りたい。こんなことは現実ではないんだ。そんな思いを抱きながら、あなたの告別式から足早に立ち去りました。車を運転している最中もいま見て来たこと、いま感じて来たことがまるで映画の一つのシーンのように頭の中をまわっています。どうしてだろう、どうなっちゃったんだろう、何で、頭の中には混乱と悲しみが交互にやってきます。悲しみは現実を認めようとしている心。混乱は現実を認めまいとする心。でも、悲しみが徐々に私の心を支配していきます。その後に訪れるむなしさ。何故なんだろう、貴方が私たちの中からいなくなるなんて。読書会「むじな」の仲間として、いや、同じ時代を生きる同士として共に歩んで来たと思っていた貴方が突然私たちのなかから消えてしまいました。


 さゆり会室にみんなを待っています。いつもの読書会ではなく、貴方にありがとうを言えなかった仲間が貴方が仲間と歩んで来た道を、話したことを、感じたことをみんなで話す会を企画しようと集まっています。貴方が私たちの中からいなくなってしまったのはわかっている筈なのに、貴方はどうしたんだろう、遅いな、もう現れるかなと思ってしまってドキッとしています。さゆり会室のドアが開いて貴方が満面の笑みで現れるような錯覚さえ覚えてしまいます。最後に貴方と話したことを覚えています。その時も満面の笑みでしたね。よほど嬉しかったのでしょう、子どもの将来のことを心配していると言いながらも確実に歩み始めたことを嬉しそうに話していました。いつも心を砕いていたことだからなおさら嬉しかったのでしょう。陽光に照らされながら門のところで手を振って帰っていく貴方の姿を今も鮮明に覚えています。


 貴方が去っていった日から数日、もう一人の人が去っていきました。私にとっては貴方と同じように私の人生の中で大切に思っている人です。その人は大変強い女性でした。子ども達の教育のことを成し遂げるため、自らの一生を子ども達の教育に捧げ、切り開いていった強い意志を持った女性でした。男勝りに活動をし、自らの道を突き進んでいった人です。この人のように貴方は強い意志を持っていたことを私は知っています。でも、貴方がこの人とは違うところは、「やさしさの強さ」ですね。強い意志を前面に出してみんなをぐいぐいと引っ張るような意思ではなく、やさしさに包みながらいつしかみんなを引っ張っていってくれたんですね。今、貴方が私たちの中からいなくなってしまい、貴方との会話や笑い合ったこと、人と人との繋がりなどを夢中に話したことが、今の私たちが貴方の「やさしさの強さ」に見守られていることをひしひしと感じます。この感覚は薄れていくどころか、日増しに私たちの中に強く入り込んでいることに気付かされます。貴方が去った悲しみは今も続いています。でも、悲しみの中に貴方の「やさしさの強さ」を感じられることの喜びを見いだせ、貴方が確実に私や私の仲間たちの心の中に存在しているという実感をひしひしと感じます。
 
 いつまでも貴方の「やさしさの強さ」が私たちの心の中に留まっていてくれることを願って、居住まいを正して言わせて頂きます。「ありがとう」


 一年前の12月29日、この世を去ってしまった同士へ送った追悼文です。あれから一年、私は同士へ恥じない生き方をして来たのだろうかと迷います。先日、娘さんとお話しする機会を得ました。あなたが仲間の中で何をして来たのか、何を思っていたのかを知りたくて私たちの話を聞き、その雰囲気を知りたいとのことでした。とてもあなたによく似ていました。考えや行動、あなたのやさしさ等が体全体から漂うように感じられました。あなたの未来は昨年の29日で「時」を止めました。しかし、その「時」が娘さんの心の中に息づいていることを感じられ嬉しく思いました。受け継がれた何かを感じ、これからもあなたの思いを感じられる喜びを確認しました。


 正直に生きよう。常に私や仲間たちが口癖のように発している言葉です。自分に正直であり、他の人たちに正直でありたい、なかなか難しい思いです。この一年、常に子どもたちへ向けたメッセージでもあります。そして、私と何らかの関わりがある人たちに向けたい「思い」でもあります。この一年、私は自分自身に恥じない生き方が出来たのだろうか?


 年の瀬に思うことが多くあります。でも新しい年はもうすぐそこまで来ています。また新たな気持で新しい年に進みましょう。今年一年の反省を生かしながら、前を向きながら確実に一歩ずつ。


今年、お世話になった人たちに自戒を込めて反省文を書きました。


 


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